ブログ八重洲店

2017.6.21

鬼灯(ほおずき)について

初夏の候、貴社ますますのご繁栄のこととお慶び申し上げます。

さて、本日はこれからの季節見頃をむかえます鬼灯(ほおずき)についてお話させていただきたいと思います。

 

八重洲店写真1

 

・そもそも鬼灯とは?

鬼灯とはナス科ホオズキ属の多年草、またはその果実であり、我々が知っているあの赤い物は「果実」であります。

鬼灯には主に観賞用と食用とがあり、一般的に知られている赤い物は観賞用になります。

こちらは毒性、苦味があり食用にはなりません。

名前の由来としましては、その実の赤くふっくらした様子から「頬」を連想したもの(ずきは顔つき、目つきのつきかと)といわれておりますが、所説あるようです。

毒性があると述べましたが、昔は鎮静剤などに利用されており、現在でも咳や痰、解熱や冷え性に効果があるとして、全草を煎じて飲む風習がある地方があるそうです。

 

・観賞用鬼灯

観賞用の鬼灯の主な品種は「タンバホオズキ」で小振りの「三寸ホオズキ」なんていうものもあります。

オレンジ色なのは花が咲いたのち、果実を袋状に包んだ六角のガクが熟した物です。

和食の世界では主にこのオレンジ色の袋状のガクを籠などにして使います。

主に八寸に使うのですが、とにかくこの鬼灯は色合いも良いですし見た目も可愛らしく、様々な物を入れることができるので、この時期の八寸盛りに欠かせない物となっております。

実に見立てた物を入れてみたり、季節の食材を入れたり、とにかく何を入れても絵になってくれます。

私が今年は何をこの鬼灯に盛ったのかは、是非当店にきてご確認くださいませ。

 

・食用鬼灯

さて、鬼灯にはもう一つ食用の物がございます。

こちらは食用に栽培されたもののガクの中の丸い実を食べるのですが、こちらなんとも言えない独特な甘酸っぱさがあり、これは英語名のCape Gooseberryにあるようにまさにベリー類にも似た味わいです。

なす科とは思えない味わいなどからフルーツとして扱うお店もよくあります。

元々ヨーロッパなどで食用として栽培されていたのですが、ここ数年で国内でもよく見かけるようになり、本格的に栽培し始めた農家も増えてきているようなので、今後ますます人気が高まるかも知れませんね。

名前も様々で、その味や見た目から「ストロベリートマト」や「フルーツホオズキ」、「ホオズキトマト」、「オレンジチェリー」、フランス語の「フィサリス」など色々な名前で出荷されています。

見た目は観賞用の物と違い枯れた感じでカサカサしており、手で簡単に破ることができます。

こちら主な旬が7月からとなっておりますので、当店でも使用する機会ありますので是非ともお試し下さいませ。

 

そして料理とは少し離れてしまうのですが、鬼灯と言えばやはり浅草、浅草寺のほおずき市です。

こちらは毎年7月9,10日に行われるお祭りなのですが、なんとご利益が約126年分もあるといわれているんです。

元々普段のお参りを一日分のご利益と考え、功徳日という百日分のご利益が得られる日がつくられ、その功徳日のなかでも7月10日は特別な日とされ千日分のご利益が得られるといわれ、さらに浅草寺ではそれが江戸時代に入りなぜか4万6千日と激増し、それを現代の暦に換算すると126年分となるわけですが、この4万6千という数字には所説あり、米一升に含まれる米粒が4万6千粒だからといわれ、「一升=一生」という江戸っ子のユーモアあふれる話ともいわれています。

このお祭り、やはりその名の通り、様々なほおずきが売られており、おすすめは風鈴付きのつりかご入りの物が風情があって良いと思うのですが、他にも厄除けとして家の飾る枝に鈴なりのほおずきを結びつけた「枝ほおずき」や竹ひごにほおずきを一つ付けた「ひごほおずき」などがあります。

お値段もお手頃な物が多く、もちろん値切り交渉も可能です。

お祭りも後半の時間帯になりますと皆売り切りたいと思いますのでそういった交渉をしてみるのもまた一つの楽しみ方かと思います。

 

さて、今回は少し料理というより料理を彩る演出面などのお話をさせていただきましたが、やはり料理は目で見て楽しむということも一つの大切な部分だと思いますので、そういった部分にもしっかりと気を使って少しでも皆さまに楽しい時間を提供できたらと思っておりますので、当月もどうぞ宜しくお願い致します。

 

瓢喜 八重洲店  料理長 大宅 康平

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