ブログ西麻布店
抹茶について、あれこれお話します
皆さま、「抹茶」はお好きでしょうか?
茶道の飲み物としてより、今では抹茶味の〇〇といったようにスイーツの一つの分野としての方が馴染みがいいかもしれませんね。
本日は、抹茶についてお話をさせていただきます。
抹茶とは
わかっているようで、わからないのが抹茶ではないでしょうか。
スイーツの影響もあり、ほろ苦く、濃い緑色というイメージはあると思いますが、詳しいことはよく知られていないのが抹茶です。そんな抹茶について、あれこれお話をさせていただきます。
抹茶と煎茶の違い
そもそも、抹茶とは何なのか?意外とわかっていらっしゃらないかもしれませんね。
→緑茶の粉末状になったもの。
その通りですが、粉末緑茶も抹茶は違うものですが、見た感じは、同じく粉末状です。
ですが、原料となる茶葉が違うものなのです。
具体的には、抹茶は碾茶(てんちゃ)というお茶を粉末にしたもののことをいい、一般的に飲まれているお茶の煎茶を粉末にしたのが粉末緑茶です。
碾茶というのは、よしず棚などを使い茶畑を覆って、茶葉に強い日差しが当たらないようにして育てた茶葉を蒸してから乾燥させて、余分なものを取り除いて作られたお茶です。
それを茶臼などで挽いて微粉状に製造したものが抹茶なのです。
ちなみに、なぜそうした育て方をするかというと、日が当たって育った通常の茶葉よりも、旨みや甘味の多い柔らかな新芽へと成長するからなのです。
抹茶と玉露
なんとなく、抹茶についてお分かりいただけましたでしょうか?
となると、高級なお茶の「玉露(ぎょくろ)」は抹茶なのかな?と思う方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、玉露は高級なお茶ではありますが、また別物です。
煎茶と比べると、玉露と抹茶は旨味や甘味が強く、色みも鮮やかで、上品でふくよかな香りを持ちます。
これは、玉露は抹茶と収穫前の育て方が同じだからです。
抹茶と玉露茶は、収穫のおよそ1か月前にお茶の樹に日光が当たらないように被覆(ひふく)をします。
そもそもお茶の美味しさの成分は、「テアニン」というアミノ酸(ポリフェノール)によるものです。
テアニンは、冬の間にお茶の樹の根の部分でつくられ、春先に新芽へと移動します。このうまみ成分のテアニンは、日光を浴びると茶カテキンへと化学変化します。
つまり、旨味や甘味をもったテアニンが苦みの強いカテキンへと変化してしまうということです。
抹茶と玉露茶は、育て方までは一緒なのですが、その違いは収穫後の加工の方法にあります。
抹茶は、被覆をして育てた茶葉を収穫後、加熱して青殺(さっせい)し、茶葉をもまずに加熱乾燥処理を行うところに特徴があります。
玉露茶の加工方法は、煎茶と同様になります。
被覆をして育てた茶葉を収穫後、加熱して青殺(さっせい)し、茶葉を揉捻しつつ、蒸熱を使って加熱乾燥させていきます。
青殺というのは、生葉に含まれる酵素の働きを止めるために熱を加える処理で発酵を止めることです。
つまり、抹茶と玉露茶は、どちらも手間暇をかけて育てられたものですが、抹茶は加工の時に揉まないところが玉露との大きな違いになります。
抹茶と懐石料理
抹茶は、濃茶用、薄茶用として用いられます。
そして、この抹茶を楽しみながら食べる料理が「懐石料理」と言われています。おなじ「カイセキ」料理でも「会席料理」はお酒を楽しむために食べる料理です。
懐石料理には、茶道の創始者である千利休の「侘び」の思想が色濃く反映された「素材の持ち味を生かす」「旬の食材を使う」「親切心や心配りを持って調理する」という三つの大原則があります。
当店でもこの三つの大原則を心に刻み、最上級のおもてなしとともにお客様のご来店をスタッフ一同心よりお待ちしております。