ブログ西麻布店

2018.4.17

小さな主役山椒

春風の心地よい季節になりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか?

 

京都では山椒の花が始まりました。春になって山椒の葉が始まり、夏には山椒の実、秋には山椒の粉、さらに皮も楽しめます。

山椒は昔、椒(はじかみ)と呼ばれていて、日本では昔から香り、辛味のスパイス、ハーブとして使われてきた歴史があります。

山椒はその葉、花、実、皮と全てがスパイス、ハーブとして用いられるのが特徴で、古い家の庭などには山椒がよく植えられていたそうです。

中国の花椒(オアジャオ)と同じように、日本の山椒も痺れる辛さと、何とも言えない爽やかな芳香があります。

 

今の時期は、山椒の葉が「木の芽」、山椒の花が「花山椒」と呼ばれ、気の利いた料理に加えられているのを見ます。

特に木の芽と筍の組み合わせは絶品です!

 

 

 

 

 

 

1.山椒の名前と歴史

ここで取り上げている山椒は日本原産の山椒です。

冒頭にも書きましたが、山椒は古くはハジカミと呼ばれ、「椒」と書かれていました。

ところが、この呼び名「椒」は、ショウガも同じように呼ばれていたため、文献を調べていてもどっちがどっちだか分からないことになっています。

じきにショウガは「薑」、山椒は「椒」と区別して使われるようになったので混乱することが無くなりました。

 

さて、この山椒は生薬として用いられてきました。

中国では「神農本草経」に蜀椒の名前で花椒が使われていたようですが、日本では大部分において、花椒の代わりに山椒を使ってきたと考えられています。

山椒の使われる部位は果皮。乾燥させてからすり潰して粉にして使ったようですが、これ単独では粉山椒そのものですね。

この粉山椒を整腸剤や痛み止めとして使ってきたようです。

 

山椒の実ですが小さな緑色の果実です、実山椒ともいいます。

春先に花が咲いて夏に実がなるので、収穫して青いまま使います。

これを煮物に入れれば、肉や魚の臭みを消し、ピリッとした辛みをアクセントとして加えることができます。

乾燥した山椒は、水煮と違ってかなり硬いので、手指で砕いて使うか、粗めにすり潰してから使用します。

香り、辛味以外にも色味を加えることができるので、目的に応じて使い分けるといいと思います。

 

山椒は花も使います。山椒は雌雄別株なので、雄株の花の後には実がなりません。

でも、雄株には雄株ならではの楽しみ方があります。

受粉さえできれば摘んでしまっても良いので、花を摘み取って花山椒として楽しみます。

実のような辛さはありませんが、香りが楽しめます、春の息吹を感じることができると思います。

あと残りの部位は樹皮です。

 

兵庫県に「からかわ」という珍味があるのですが、このからかわがまさに山椒の皮を使った逸品です。

使う部位は山椒の若枝の外の硬い皮を剥いだ薄皮。これを細かく刻んで佃煮にしたものです。

この山椒の佃煮、実の数倍辛いと謳われていますが、実際は辛いというよりも痺れるといった感じでしょうか。花椒を使った辛い麻婆豆腐の辛さに似ていました。

さあ、ここまで見てきた通り、山椒は、山椒の葉(木の芽)、山椒の実(実山椒)、山椒の花(花山椒)、山椒の皮とあらゆる部位が使われている食材なのです!

 

 

 

 

 

 

2.山椒の香りや味

皆さんは山椒の葉、いわゆる木の芽を使う時に料理人が木の芽を手に乗せて「パンッ!」と叩いているのを見たことがあると思います。

叩く前と後では香りが増したと思います。

実は山椒の葉には、香りの元となるオイルが溜まる油点があります。

木の芽を見ていただくと白いというか透明な点がポツン、ポツンとあるのが分かると思います。

それが山椒の「油点」です。

これはミカン科の植物にみられる特徴なのですが、ここに香りのオイルが溜まっています。

山椒の葉を手の上で叩くことで、この油点が壊れオイルと共に香りが放出されるのです。

香りの元になる成分はいくつかあるのですが、リモネンやシトロネラルなどが含まれています。

一方の辛み成分は山椒が語源になっているサンショールがあります。

このサンショールには整腸効果が認められているのですが、同時に麻酔効果もあって舌が痺れた感じになります。

サンショールこそが山椒の味覚そのものと言っても良いかもしれません。

 

 

 

 

 

 

3.粉山椒の作り方

山椒の雌株に実がなって、一部が色づき始めたら収穫し、山椒の実を風通しの良い日当で1週間ほど乾燥します。

この時に実が割れて種が飛び散ります。

しっかり乾燥させたら、丁寧に種を取り除いてから粉砕します。

スパイス専用のミルサーなどで適度な粗さにまとめます。

粉砕したものをお好みのふるいにかけて仕上げます。

まあ実際は、種は面倒であれば取り除かなくても良いですし、ふるいもかけずに大き目の皮などを取り除くだけでも構いません。

これで粉山椒の完成です。

是非挽きたてのフレッシュな香り、辛味を楽しんで下さい!

 

 

ここまで山椒の特徴をいろいろな角度から見てきました。

山椒は葉も実も花も皮も、スパイスやハーブとして使われていましたが、葉や花は季節のもので使える時期が限られます。

また皮は自分で栽培しないと手に入らないですね・・・

 

そんな季節の山椒もご用意してスタッフ一同心より皆様のご来店お待ちしております。

 

 

西麻布店  小川

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