ブログ西麻布店
夏蕎麦(なつそば)
夏に収穫する「夏蕎麦」、蕎麦好きの方ならご存じのことでしょう。
秋だけでなく、夏も「新そば」を味わえるというわけです。
本日は、「夏蕎麦」についてお話しをさせていただきたいと思います。
「夏蕎麦」と「秋蕎麦」2つの新そば
「新そば」には、「夏蕎麦」と「秋蕎麦」があります。
夏に採れる「夏蕎麦」、秋に採れる「秋蕎麦」です。
「新そば」と言うと、蕎麦の収穫後1~2か月後の新鮮なものをいいます。
一般に知られている「新そば」の時期というと、「秋蕎麦」になります。
お蕎麦屋さんの店頭などで、「新そば入荷しました」というのぼりを掲げている様をご覧になることもおありでしょう。
こののぼりが立つのが、9~10月頃に採れる「新そば」で、大体年内いっぱい位までを「新そば」と呼んでいるようです。
そばの実は収穫された後、玄そば(殻の付いた状態)で保管しますが、玄そばは、常温では酵素によって脂質の酸化が進み劣化していきやすい穀物です。
昔は、秋に採れたそばを1年間保管する中、収穫されてから長い時間が経ったものは劣化していってしまいました。
それに比べて、収穫したてのそばの実で作った「挽きたて・打ちたて」のそばは、新鮮な味わいで、貯蔵しておいたそばよりも香りがぐっと引き立つので「新そばは、おいしい!」とそば通が待ち焦がれるものになったわけです。
現代では保存設備も発達し、長期間おいしいそばが食べられるようになりました。
それでも、収穫したばかりの「新そば」は、収穫して間もないので、色や味わい、香りが優れているのが特徴で、そば通にはたまらない美味しさです。
秋蕎麦
夏に種を撒いて、秋以降に収穫するのが「秋蕎麦」です。新蕎麦の時期は秋以外にもあるので、「秋新」とも呼ばれています。
北海道が一番早く9月下旬頃まで、九州では11月中旬頃までと収穫地が南下していきます。
「秋蕎麦」は、そばの栽培に適した昼夜の寒暖差が大きい秋にでんぷんがしっかり熟成されます。
そうしたことから、秋蕎麦は、風味豊かで香り高いのが特徴になります。
秋蕎麦で有名な産地としては、茨城の「常陸秋そば」、長野の「戸隠そば」島根の「出雲そば」などが有名です。
夏蕎麦
春に種を撒いて、初夏から夏にかけて収穫するのが「夏蕎麦」です。「夏新」とも呼ばれています。
九州あたりから収穫が始まり 、最も遅い北海道でも8月中旬頃には収穫が終わります。
「夏蕎麦」は、真夏の太陽をいっぱいに浴びて育つので、生育が早く、淡い香りと清涼感を感じる若々しい味わいが夏蕎麦の特徴です。
昔から、そばは高温と湿気に弱いため、冷涼地で栽培されていたものの、秋蕎麦と比べて質が落ちるとされてました。何度もの品種改良によって味わいが向上し、いまでは秋新と並ぶ人気です。
夏蕎麦の一大産地として有名なのは、北海道です。
北海道では、全国で収穫される蕎麦の半分以上を生産します。といっても、北海道では夏と秋蕎麦の区別がなく、年に一作のみなのですが。
その他には、鹿児島「志布志の夏そば」福井の夏そばなどが有名です。