ブログ西麻布店

初夏を彩る和菓子達

梅雨明けが待たれる今日この頃、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
湿気が多いこの時期は我々和食の料理人といたしましては別の意味でいやな時期であります。
といいますのも、我々料理人が使用しております包丁です。

ご家庭などでは今はステンレス等の素材が主だとは思いますが、我々のそれは鋼が主なのです。
そしてその鋼、きちんと手入れしないとこの季節非常に簡単に錆びてしまうのです。。。

「包丁の錆びは心の錆び」と若い頃はよくそれで怒られたものです。

 

さて、少し話がそれてしまいましたが、本日はこの時期を彩る和菓子についてお話させていただければと思います。
そもそもなぜ今和菓子なのか?と思うかもしれませんが、この6月は水無月(みなつき)と呼び、和菓子には水無月というこの時期に食べる代表的な和菓子があるのです。

 

こちら、しっかり説明すると非常に長くなってしまうのでなるべく簡潔に説明致します。

 

水無月

まず6月には代表的な和菓子、「水無月」です。
こちらは6月の代表的な厄払い、「夏越しの祓」の際に食べられる物としても有名です。
こちらの「夏越しの祓」とは、本格的な夏を迎える前に健康に乗り切れるようしっかりとお祓いしましょうというような行事です。

そもそも水無月とはどんなお菓子なのかというと、白にういろうの上にあずきをのせた三角形のお菓子で、三角形は涼を意味する氷をイメージしたもの、あずきは邪気を祓う意味の物でまさにこの夏越しの祓にぴったりの和菓子なのです。

もともとは京都の習慣であるのですが、近年都内の和菓子屋さんでもこの時期になると見かけるようになりました。
また、最近は基本的な水無月ではなく、小豆をかえたり下のういろうを抹茶などを使用してみたりと様々な変化をみせておりますので、面白いです。

 

水羊羹

続きましては「水羊羹」です。

様々な食材とあわせれるため、和菓子といえば羊羹を連想される方も多いかと思いますが、シンプルではあるのですがひと際この季節にぴったりの羊羹がこの水羊羹でございます。

普通の羊羹との違いは純粋に中に含まれる水分量です。水分が多く、柔らかくみずみずしい仕上がりになります。

氷の上に笹を敷き、その上に乗せてあげればそれだけで見た目も涼しげな甘味になりますね。

 

 くず餅、わらび餅

その他には葛粉を練り上げて作るくず餅や、食材を葛で包みこんだ葛饅頭、蕨粉で練り上げて作るわらび餅などがあります。
最初にあげたくず餅なのですが、関東と関西で実は違いがあるのです。

まず関西式なのですが、
こちらは主に奈良県吉野市が有名な吉野葛というものを使い、こちらに砂糖と水を加えて練った物です。
こうすることで葛きりのように透明でつるんとした食感に仕上がります。
良質かつ名産な吉野地方には様々な葛料理があり、こちらが地域全体に広がりそのまま西の名産にまでなったのではないかと思われます。

 

これに対して関東風なのですが、
こちらはくず粉でなく小麦を乳酸菌で発酵させた小麦でんぷんをもとに作っています。
この小麦でんぷんをよく水で洗い、湯を加え、蒸して作ります。
白っぽく独特の食感なのは発酵という工程があるが故のものなのですね。

 

同じくず餅なのに材料、作り方がまったく違うのですが、名前が同じなのは共に主原料の有名な産地名からとっているからなようです。

 

どちらもたっぷりの黒蜜ときな粉とともにこの時期食べたい懐かしの和菓子ですので機会があれば是非ともお召し上がりいただければと思います。

わらび餅に関しましては、先に紹介した関西風のくず餅と同じ作り方で、主原料が葛でなくわらび粉になります。
関西風のくず餅と食べ比べてくず粉とわらび粉で仕上がりの食感などが変わるのを感じてみるのも面白いと思います。

 

さて、長くなってしまいましたが本日は懐かしさも感じられる和菓子についてお話させていただきました。

当店でもこのような日本の伝統的な部分を残しつつ、様々な事に挑戦していきたいと思っております。

 

今後とも何卒、宜しくお願い致します。

 

 

瓢喜 西麻布店  料理長   大宅 康平

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