ブログ京橋店
鰆(さわら)について
3月に入り、日差しが温かい日が多くなってきました。
少しずつ春が近づいていますね。
今回は「春」の「魚」と書きます、鰆(さわら)」についてです。
鰆の生態についてですが、鰆は、北海道南部・沿海地方から東シナ海まで、東アジアの
亜熱帯域・温帯域に分布しこれらは日本海南部・黄海・東シナ海に分布する系群と
瀬戸内海から西日本太平沿岸に分布する系群の二つに分けられ、前者は黄海、後者は瀬戸内海を産卵場としています。
春から秋にかけては沿岸の表層を群れで遊泳しますが、冬は深場に移ります。
食性は肉食性で、主にカタクチイワシやイカナゴ等の小魚を捕食としています。
産卵期は春から初夏で、何回かに分けて産卵を行い、仔魚は当初から鋭い歯を持ち
自分と同じくらいの大きさの他魚をどん欲に捕食します。
生後1年で46㎝ほどに成長し、以後は2歳68㎝、3歳78㎝、4歳84㎝ほどになります。
成長は温暖な時期に顕著で、冬は成長しません。
寿命はオス6年、メス8年ほどといわれています。
身の見た目は、さほど赤くなく白身として取り扱われることも多いですが
成分から見ると実は赤身魚に分類されます。
日本では一般に焼き魚、西京味噌を使った「西京焼き」、唐揚げ(竜田揚げ)などで
食べられるイメージがあるのではないでしょうか。
身が軟らかく崩れやすいので煮物には向かないといわれることもあります。
岡山県周辺では鮮度のいいものを刺身で食べることもあるようです。
また、香川県などでは鰆の卵巣を使ってカラスミをつくることもあります。
「春」の「魚」と書きますが、実は本当に味が良いのは秋・冬です。
特に冬は脂がのり、「寒鰆」と呼ばれて珍重されますが、この季節には活動が鈍るため漁獲量も減ってしまいます。
魚偏に春で「鰆」と書くのには、春に産卵のために沿岸によるため人目に付きやすいことから「春を告げる魚」という字源となったといわれています。
鰆の身は、くせが少なくたんぱくな味わいのため、さまざまな調理法を通して食卓に登場する万能な魚です。
また、日本では古くから冠婚葬祭に用いられ、さわらは懐石料理には欠かせない魚でもあります。
鰆には、良質なタンパク質はアミノ酸スコア「100」健康な身体を作る栄養、不飽和脂肪酸も豊富-DHAやEPAの効能は高血圧の予防に、カリウムやリン、ビタミンDの効能–健康な骨作りで骨粗鬆症を予防、ビタミンB2効能は糖質の代謝をサポート、過酸化脂質を分解するという特質があります。
鰆の主な産地は、福井県が最も多く、次いで石川、京都、島根、長崎と続きます。
全体的に北陸から山陰にかけての日本海側で沢山獲れています。
料理法として、生食では、刺身、焼霜造り、カルパチョ、酢〆、なますなどで、
他に焼くでは塩焼き、照焼、西京焼き、柚庵焼き、などです。
煮物では煮付け、すき焼きなど、揚げ物では竜田揚げ、唐揚げ、天麩羅、フライなどです。
汁物は船場汁、味噌汁、つみれ汁などで美味しく召し上がることが出来ます。
他では、ムニエル、南蛮漬け、炊き込みご飯などがあります。
扱うポイントとして、鰆の身は非常に軟らかく身割れしやすいので扱いに注意が必要です。
三枚おろしにするときや、刺身にする際には注意し丁寧に扱う事が重要です。
また、前述の通り、身割れの面で煮物にはあまり向いていません。
内臓が小さく、全体に歩留まりがよい魚と言えます。
また、成魚になる前のサゴシは脂も少なく旨みにも欠けますが、バターやオリーブオイル、ゴマ油などの油脂をうまく使うことでおいしく食べる事が出来ます。
大きく、鮮度が良いものは刺身など生食も美味です。
皮と身の間に独特の香りと旨みがあり、皮の歯ごたえと身の柔らかさとを生かす意味でも
皮をつけたまま切りつけることをお勧め致します。
皮目をバーナーであぶると香ばしく、皮も歯切れが良くなりよりおいしく食べられます。
昆布締めにもよくされるほか、なめろうなどの和え物なども美味しく召し上がって頂くことが出来ます。
鰆はスーパーなどで生の切り身のほか、西京味噌漬けにしたものなどがよく売られており、目にすることが比較的多い魚であると思います。
冬の鰆は脂が乗っているので塩焼きもおいしいですが、塩焼きの場合は身が柔らかいので、
軽く塩を振って締めておいてから焼くと上手く焼くことが出来ます。
春のものなどは、脂が少なく淡白なので、西京漬けの焼き物や、酒、醬油、みりんに柚子などの柑橘を加えた調味液に漬け込んで焼き上げる幽庵焼き(ゆうあんやき)などがお勧めです。
今が旬の鰆を皆さんも是非ともお試し下さい。
今回は鰆についてのお話でした。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
瓢喜 京橋店
店長 大日向 勝弘