ブログ京橋店

2018.1.4

お雑煮について

どっぷり冬の寒さが到来して、肩をすぼめながら歩く人々が、どこか気ぜわしく慌ただしさを感じさせる師走も過ぎていきました。
今回はお雑煮について、お話をしたいと思います。
雑煮は餅を主な具とし、醬油や味噌などでだしを味付けたつゆをはった日本料理。世界的に見るとスープ料理のひとつです。日本では正月に多く食べられ、地域や家庭によって違いがあります。

雑煮の由来については諸説あり、定かではないですが、九州では正月の雑煮を直会(なおらい)、オノウライなどと呼ぶ地域があります。また、正月に限って雑煮と呼び、結婚式などその他の折に食べる場合は餅吸い物やおつけもちと呼び分ける例が多いです。

雑煮に入れる餅は地域ごとに差異があり、日本の地方による食習慣の違いを表す例としてよく持ち出されます。雑煮に入れる餅は汁に入れる前に焼いて香ばしさを意図したものと、生のまま汁に入れて煮るもの、また四角い餅と丸い餅とに細分されます。
焼いた四角い切り餅(角餅)を使う人が一番多いです。餅を焼かない地域は、関西地方、広島を除く中国地方が主です。角餅ではなく丸餅を使う地域は、糸魚川静岡構造線から西側(愛知、岐阜、三重、鹿児島は除く)で、北海道、富山、石川、福井は混在しています。
北海道では、丸餅と角餅が混在していますが、これは明治以降に移り住んだ人達によって全国各地の雑煮が持ち込まれたものであり、現代の北海道では角餅・すまし仕立てに統一される傾向にあるともいわれています。また、丸餅を使っていた関西・中国・四国の地域でも角餅を使う地域が広がっています。一方、「餅を使わない雑煮」を作る地方もあり、里芋や豆腐やすいとんなどが餅の代替となります。

こうした雑煮は稲作の盛んでない山間部や島岨部に残っています。餅以外の具の代表的なものとして、豆腐類、いも類、鶏肉の切身または肉団子にしたもの・青味(小松菜、ほうれん草)・彩りを添えるための色気(人参、蒲鉾、海老)・香りに柚子、三つ葉などがあるが地方による違いが大きいです。

出汁の素材も地域によって様々ですが、昆布・鰹節、煮干し・スルメなどが主に使用されています。つゆは地域によって色々なものがあり、すまし仕立てが68%と多く、次点は合わせみそ仕立てで、関西は白味噌仕立てが多いです。
新年の豊作や家内安全の願いを込めて、お雑煮には餅がつきものです。餅は昔から日本人にとってお祝い事や特別な日に食べる「ハレ」の食べ物でした。そのため新年を迎えるにあたり、餅をついて他の産物とともに歳神様におそなえをしました。

そして元日にそのお供え物をお下がりとして頂くのがお雑煮です。

お雑煮を食べる際には旧年の収穫や無事に感謝し、新年の豊作や家内安全を祈ります。正月三が日の祝い膳には欠くことのできない料理です。

「雑煮」の語源は「煮雑(にまぜ)」で、いろいろな具材を煮合わせたことからきています。汁の味付けについてですが関西地方のお雑煮は白味噌仕立てです。東日本と近畿を除く西日本では圧倒的にすまし汁仕立てです。出雲地方や能登半島の一部などでは小豆汁のお雑煮を食す地域もあります。

具はその土地の産物が入ります。ダイコン、ニンジン、ネギなどの野菜に加えて、例えば東北なら山菜やキノコ、新潟ならサケやイクラ、千葉なら海苔、島根ならハマグリ、広島なら牡蠣(かき)などです。山村なら山の幸、漁村なら海の幸が盛り込まれますが、逆に山間部などでは普段手に入りにくい塩ブリなどをお正月ならではのごちそうとしてお雑煮に入れることも多いようです。
武士の宴会では必ず一番初めに酒の肴として雑煮がふるまわれていました。すなわち雑煮は宴の一番最初に食べる縁起の良い料理で、雑煮を食べなければ宴が始まりませんでした。この習わしをもとに、一年の始まりである元旦に雑煮を食べるようになったと言われています。

今回もお付き合いありがとうございました。

瓢喜 京橋店 料理長 大日向勝弘

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