ブログ銀座三丁目店
土瓶蒸しは香り高いだし汁と具材が素晴らしい
土瓶蒸しと聞いて、日本人ならば情緒あるあの風貌をすぐにイメージすることが出来るでしょう。ただ私自身実際に食べたことはあまり多くはないような気がします。本日は、日本らしさが溢れる食器を使った料理、土瓶蒸しについてお話させていただきたいと思います。
土瓶とは
土瓶と聞いてまず浮かんだ素朴な疑問があります。土瓶と急須はどこが違うのだろうか?ということです。皆さんはご存知でしょうか?
土瓶と急須の違いは、まず持ち手にあります。土瓶は上につる状の持ち手がついていますが、急須は横に持ち手がついています。
それから素材です。土瓶は読んで字のごとく土、つまり陶器で出来ています。急須は陶器で出来ているもの、磁器で出来ているものの二通りがあります。そんな土瓶ですが、近頃は磁器で出来ているものもたくさん出回る様になりました。味があるのは陶器製ですが、用途によって使い分けるのもよいですね。
そして土瓶の何よりの特徴は、直火で使えるということ。日本の伝統的な食器のひとつで、湯を沸かしたり薬草を煎じるために使われています。だから、持ち手には熱が伝わりにくい素材の竹や藤を用いているのです。土瓶は保温性も高いのですが、現在はやかんや魔法瓶や電気ポットなど様々なものが出回っているため、一家にひとつということも少なくなりました。しかしながら、「和」よりも「洋」が選ばれつつある現代で、改めて和の魅力に立ち返り、土瓶を使うという方もいるようです。健康茶などを入れる際に使ってみるととても情緒がありますよ。
ちなみに土瓶には種類が3つほどあります。
・ボーフラ→煎茶道で使われるもの
・汽車土瓶→明治10年頃の神戸駅で、駅弁を販売する時のお茶の容器として使われたもの
・千代香→焼酎を温めるために使われるもの
そして、土瓶を使った料理に土瓶蒸しというものがあります。土瓶に出汁とともに松茸やハモなどを入れて蒸した料理です。土瓶は直火出来るので金網を敷いた炭火に乗せたり、コンロなどで弱火で温めて作ります。土瓶がない場合に急須で代用する事もできますが、大きさによっては具材があまり入らない、直火などで下から温める事ができないなど問題点もあるので、出来ればきちんと土瓶を使うことをおすすめします。
土瓶蒸し以外にも、やかんなどの代わりとして使うことが出来るのでひとつ持っていても損はないような気がしますよ。
土瓶蒸し
更に土瓶蒸しについて掘り下げてみましょう。
土瓶蒸しといえば、松茸の土瓶蒸しが代表的ですよね。松茸、海老、鶏肉、白身魚、ぎんなん、みつ葉などの具材とだし汁を土瓶に入れ蒸して作ります。
土瓶蒸しの食べ方にはマナーがあります。汁は、柚子やすだちの果汁をお猪口(おちょこ→日本酒を飲むときなどにも使われますね)にしぼり入れ、土瓶から汁を注いでお吸い物風に味わいます。具はお猪口に取っていただきます。
手順としては、まず伏せてあるお猪口の底を右手で取って置きます。このお猪口を取り皿として使います。そのお猪口に汁を注ぎ、まずは香りを楽しみ、次に蓋を開けて柚子やすだちやをしぼって味をみます。先述したようにお猪口に果汁をしぼってから汁を注いでもよいです。
具を食べるときには蓋を開けてお猪口に具を取り、お猪口は手に持って食べます。
土瓶蒸しは、交互に、汁を飲んだら次は具を、という食べ方で進んでいきますので、最初に汁を全部飲まないようにしましょう。食べ終わったら蓋とお猪口は元の位置へ戻しておきます。
「松茸は高価で買えない」という場合は、エリンギやエノキやしめじなどのキノコ類で代用することも可能です。
香りこそ松茸に劣りますが、それぞれのきのこが持つ香りが重なることで、自宅でも質の高い土瓶蒸しを味わうことが出来ます。
いかがでしたでしょうか?土瓶蒸しと聞くと旅館や料亭で食べるイメージがあり、身近ではなかったのですが、知れば知るほど食べてみたくなりますよね。香り高いだし汁や上品な具材を、情緒溢れる土瓶とともに、優雅な空間でぜひ一度味わってみたいものです。
当店では、すき焼き、しゃぶしゃぶをはじめ、様々な旬の食材を使った料理をご用意しております。是非一度当店自慢の料理をお召しあがりになってみてはいかがでしょうか。
皆様のご来店心よりお待ちしております。