ブログ銀座三丁目店
冬の味覚 鮟鱇
新年明けましておめでとう御座います。
本年も宜しくお願い致します。
皆様、お正月はいかがお過ごしされましたか。
私は実家に帰り、たまには親孝行をしようと思い、腕を揮って参りました。
また地元の仲間の家に招待され、そこでも腕を揮ってきました。
やっぱり料理人。
包丁を持つと気がシャキとします。
さて、今回は冬の味覚「鮟鱇」についてお話しさせて頂こうと思います。
鮟鱇とは
鮟鱇は「東の鮟鱇、西の河豚」と言われ、東日本の冬の味覚の代表とも言えるものです。
身は粘り気があって柔らかく美味ですが、それ以上に内臓が美味です。
肝臓(肝)、尾びれ(とも)、未熟の卵巣(ぬの)、えら、胃(柳肉)、皮を「鮟鱇の七つ道具」と呼び、珍重し鍋で賞味することが多いです。
とくに肝は応用範囲が広く、本体よりも肝臓の大きさで価格が決まるほどです。
市場では大きさが分かるように腹を少し裂いて中を見せて売ったり、肝臓だけが売られる事も多いです。
日本で「あんこう」と言われるものは、キアンコウ、クツアンコウの2種類を指し市場ではこの2種類が区別なく扱われています。
・形と生活
全長約150cm。
体は偏平なしゃもじ型で腹面とひれを除く体表に多数の皮弁があり、口は大きい。
第一背びれの棘条は1本ずつ遊離し最前のものには擬餌状体が付いた誘引器官となっています。
水深500mより浅い砂泥底に住み、低魚類、いか、たこ類などを食べます。
海底にじっと静止し、付近に小魚が泳いでくると誘引器官を振って餌となる小動物のように見せかけ小魚を口の近くに誘きよせ一気に飲み込みます。
キアンコウ、クツアンコウ共に、生態、利用方法ともよく似ていますが、クツアンコウは体色は本種が黒褐色であるのに対し、キアンコウは黄褐色であることと、また鮟鱇の口内には白色斑がありますが、キアンコウの場合には白色斑がないことで区別が出来ます。
鮟鱇の栄養と効能
まずひとつ言える事は味も栄養も身より肝の方が美味しいです。
鮟鱇は超低エネルギーの魚です。
野菜もたっぷり入れる鮟鱇鍋は、肥満予防や減量にぴったりの料理です。
魚の身は水分量が80%超すと食べた時に「水っぽい」と感じます。
鮟鱇の水分含有量は85%以上あるので、食べ方によりますが相当水っぽく感じるはずです。
身が柔らかいために調理する際も、まな板のうえではうまく捌けないので、吊るし切りという鮟鱇特有の方法で捌きます。
身はたんぱく質も少なく、脂肪も極めて少ないです。
水分が多いのでミネラル類も全体的にかなり少ないです。
ビタミン類も脂溶性、水溶性ともにあまり含まれてはいなく、栄養価の低い魚と言えます。
その割にコレステロールが多く含んでいます。
身には脂肪が少ないので、生活習慣病を改善する多価不飽和脂肪酸もあまり含んではいないです。
さきほども少しお話しましたが、「鮟鱇の価値は肝で決まる」と言われるほど、鮟鱇の価格は肝臓をどれくらい持っているかで大きく異なります。
栄養的には同様の事が言えます。
鮟鱇の肝(肝臓)は、極めて栄養価が高いです。
肝には貧血を予防する鉄、味覚や嗅覚の働きを正常にする亜鉛、鉄と協力してヘモグロビンを合成する鉄などを大量に含みます。
特筆すべきは脂溶性ビタミン類。
目を健康に保ち、皮膚や粘膜の抵抗力を高めて病気にかかりにくくしたり、抗酸化作用でガンや老化を予防するなどの機能を持つビタミンAを桁違いに多く含みます。
食べすぎると過剰性が心配されるほどであります。
骨を丈夫にして骨粗鬆症を防ぐビタミンDも大量に含みます。
細胞の酸化を防いで若久しさを保つビタミンEも多く入っています。
まだまだ寒い時期が続きます。
当店自慢の出汁シャブ。
神戸牛、近江牛も随時用意しています。
鍋を食べて体も心も満足してお帰りになれば幸いです。
お客様のご来店をスタッフ一同でお待ちしております。本年も宜しくお願い致します。
瓢嘻銀座三丁目店 料理長 石井学