ブログ銀座三丁目店

「揚げ物」の種類・揚げ方のコツ

桃の節句も過ぎましたが、まだまだ朝夕の冷え込みも厳しい昨今です。

いかがお過ごしでしょうか?

 

寒いのが苦手な私は、早く春が来てくれないかと心待ちにしております。

さて、今回は和食には欠かせない「揚げ」についてお話しをしようと思います。

まず「揚げる」手法ですが、主に2種類の方法があります。一つは材料に衣を付けずに揚げる「素揚げ」。もう一つは材料に小麦粉、片栗粉等を付け揚げる「衣揚げ」です。フライにはパン粉も使いますが、これも衣揚げの1種です。

 

<素揚げ>

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まず始めに素揚げについてですが、「素揚げ」は材料に何も付けずにそのまま揚げる手法で、材料の色や形がそのまま生かされるのが特徴です。

材料に直接あたるので、水気の多い魚や身の柔らかい魚は避けるようにします。素材の色や形を生かせるものがよく、稚鮎や小海老などは素揚げに向いていると言えます。いずれも、骨まで柔らかく揚げるためには、160~170°程度の低温の油で揚げ始め、少しずつ温度を上げて表面がカリッとなるように揚げるのがポイントです。

 

<衣揚げ>

続きまして「衣揚げ」です。「衣揚げ」は材料に様々な衣を付けて揚げる手法で「天麩羅」がその代表です。天麩羅はカラッと揚げることが難しいと言われていますが、材料の下ごしらえ、衣の作り方、油の温度など、基本のプロセスに従えば家庭でも上手に揚げることができると思います。材料は季節の新鮮なものを選び、生でも食べれるほど鮮度の良い魚介類については、火を通し過ぎないように揚げるのがポイントです。その衣揚げですが、様々な種類があるので紹介しようと思います。

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<磯部揚げ>

小麦粉を水と卵黄で溶き、青海苔を加え材料に衣を付けて揚げたもの。

 

<湯葉揚げ【東寺揚げ】>

乾燥湯葉を細かく刻み、用意した材料(海老、厚めにスライスした鯛、平目)に打ち粉、卵白、湯葉の順につけ170°の油で揚げたもの。

 

<道明寺揚げ>

海老や鱚などを道明寺粉で揚げたもの。材料に打ち粉をして、卵白、道明寺粉を付け揚げ色がつかないように低温で仕上げます。※道明寺粉とはもち米を蒸し、乾燥させてからひいた粉。和菓子や料理の材料に使われます

 

<毬栗揚げ>

茶そばなど、麺類を短く切り卵白で材料に付けて揚げたもの。毬栗に見立てているので秋頃の八寸に使われます。

 

<つと揚げ>

つと揚げとは、茶そばや素麺で包んで揚げるもの。つと(苞)とは藁苞を意味し、竹皮や藁で包んだ料理を呼びます。※身近なイメージとしては藁巻の納豆を連想いただければと思います。

 

<挟み揚げ>

挟み揚げは、材料の間に別の材料を挟んで揚げたもの。蓮根に海老真丈、茄子に鶏挽肉、大葉に鰯のすり身などを挟んで薄めの天麩羅衣で揚げます。

 

ざっとではありますが、家庭でも出来る磯部揚げや挟み揚げ、料理屋などでしか見られない毬栗揚げ、つと揚げの紹介をさせて頂きました。

 

最後に、家庭で天麩羅を揚げるコツをお伝えしたいと思います。

家庭で使う油は、植物性油が大半を占めていますが、植物性油と動物性油を使い分けるとしたら、材料にコクのある味を付けたい時はラード(豚脂)やヘット(牛脂)の動物性油を使い、あっさりとした味にしたいときは、植物性油を使ってください。

油は水に比べて、熱しやすく冷めやすい性質をもつため、材料を一度に沢山入れると温度が急激に下がります。揚物は出来るだけ一定の温度で揚げることが望ましいので、材料は一度に沢山いれないようにします。油の温度を一定にするためには油をたっぷり使う事も大事です。

油の量の目安は、最低でも材料の厚みの3倍以上。鍋は、ある程度深さがあり、厚手のものが良いでしょう。

 

そして、衣を上手に作るポイントとしては、小麦粉の中でも最もグルテンの含有量の少ない小麦粉を選びます。小麦粉を混ぜ合わせる時は、水の温度が高すぎたり、衣をかき混ぜすぎると粘りがでやすくなります。(水の適温は14~15°)極端に冷す必要はありませんが、夏場の気温が高い時は卵、水、小麦粉をあらかじめ冷蔵庫で冷やしておくといいかと思います。衣が冷たいと、粘りにくくなり、油にいれた時に衣が広がり、さくっと揚がります。衣は時間をおくと自然と粘りが出てきますので、材料の下ごしらえがすべて整ってから作るようにします。

 

■衣の例:卵黄1ヶ分、水180CC、小麦粉100g

 

■食材の油の温度の例:色を生かしたい材料(茄子、アスパラ、獅子唐、大葉など)160~165°/火の通りにくい材料(薩摩芋、南瓜、蓮根など)170°/魚介類    (海老、鱚、穴子など)170~180°

 

生でも食べれる新鮮な材料は、火が通りすぎないないように、できるだけ短時間で揚げたいです。しかし逆に、くせの強い魚や冷凍の魚を揚げる場合は少し長い時間で揚げるようにします。少し長く揚げるときは、あまり薄い衣を付けると材料の水分が抜けてしまうので、衣を少し厚くするのがポイントです。

 

一般に、天麩羅の衣はサクッと軽いものが好まれますが、材料の種類や鮮度、大きさに合わせて衣の厚さを変え、揚げ時間を調節するとより美味しくなります。

 

当店でも季節の天麩羅を御用意しています。

是非、足をお運びいただければ嬉しいです。スタッフ一同でお待ちしております。

 

瓢喜銀座三丁目店 料理長 石井学

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