ブログ赤坂店

~11月の料理長ブログ~ 赤坂店

皆さんこんにちわ!

 

瓢嘻赤坂店の料理長を務めております、石田と申します。

外も寒くなってきましたが皆様、体調の方は大丈夫でしょうか?

それでは、今月も旬の食材についてお話しさせて頂きます。

 

今回は九会(クエ)についてお話しさせて頂きます。

 

 

九会の見た目は非常にブサイクですが、食い味としては魚の中でも「王様クラス」です。

スズキ目ハタ科に属する海水魚です。九州では地方名でアラと呼ばれますが、同じハタ亜科に属するアラ属のアラとは別種でございます。

他の地方名としてモロコ(西日本各地)、マス(愛知)、クエマス(三重)、アオナ(四国)などもございます。

 

成魚は全長60cmほどですが、稀に全長1.3m・体重30kgに達する大型個体が漁獲され、新聞の地方版やスポーツ新聞の釣り面を賑わせることもございます。

日本産ハタ類としてはタマカイに次ぎマハタ、コクハンアラ、カスリハタ、オオスジハタなどと並ぶ大型種で、釣り人の憧れの的ともなっております。

また「釣り名人」や「解体名人」を称する人物も各地に存在いたします。

 

体色は淡い緑褐色で体には6本の黒っぽい横縞模様がありますが、頭部の横縞は口に向かって斜めに走っております。

幼魚は体色が黒く白っぽい明瞭な縞模様がよく目立ちますが、成長するにつれ模様が不鮮明になり大型個体ではほとんど模様が消失致します。

大型個体はマハタやマハタモドキとも似ますが尾びれ先端が白くないこと、体がやや細長いことなどで区別できます。

 

西日本から東シナ海南シナ海の沿岸域に分布致します。

外洋に面した水深50mくらいまでの岩礁やサンゴ礁に生息します。群れを作らず単独で生活し、昼は岩陰や洞窟の中に潜みます。

夜に泳ぎ回って獲物を探しますが、海底からあまり離れずにゆっくりと泳ぎ回ります。

またねぐらからもあまり離れず、遠出をすることは少ないようです。

 

肉食性で、岩礁域にすむ魚類や烏賊などを大きな口で丸飲みにします。

繁殖期は夏で秋には1-2cmほどの幼魚がタイドプールで見られますが、大きくなるにつれ深場に移動します。

雌性先塾の性転換を行うので雌はやや小型の個体が多く、大型個体はほとんど雄であります。

天然物のクエは漁獲量が非常に少ないとされています。

このため、近畿大学が和歌山県にて養殖及び研究を行っているそうです。

 

また近年、東海農政局による海洋深層水を閉鎖循環式陸上養殖施設での養殖が三重県等で試みられております。

その他、長崎県・佐賀県などでは沿岸の生け簀を利用した養殖が行われております。

静岡県温水利用研究センターで浜岡原子力発電所からの温排水を利用してクエの完全養殖を成功させており、地元御前崎市の特産品として売り出しているそうです。

和歌山県では白浜町などの観光地でクエ料理をアピールして集客を図っています。

ほぼ1年を通して漁獲され、よく旬は冬と言われていることは多いですが、特に大型の個体になると年中、味の差はないとされております。

 

「旬は冬」と勘違いされている理由は、よく鍋料理の具材として使われているためであり、年中取り扱う料理店や鮮魚店などの評価では、産卵した後に食欲旺盛になる夏場から秋の味の評価のほうが高いとされております。

刺身や鍋料理(和歌山で「クエ鍋」、福岡で「アラ鍋」)などの高級食材として扱われ、「クエ食ったら他の魚食えん」とまで言われることもございます。

 

皮を引くと厚い皮下脂肪がございますが味は淡白で、「大きくて見かけが悪いのに美味な魚」の例としてよく挙げられております。相撲界ではちゃんこ鍋の具材として馴染み深いそうです。

加工食品の材料になることは少ないですが、和歌山県では他の白身魚にクエを加えたすり身を用いクエを形どったクエ蒲鉾が製造されているようです。

海外では香港でも泥斑(広東語ナイパーン)と呼ばれており、蒸し物などの材料とされております。

 

それでは、長々とお付き合い頂きありがとうございました。

皆様のご来店をスタッフ一同心よりお待ち申し上げております。

 

瓢嘻 赤坂店 料理長 石田龍太郎

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