ブログ赤坂店
~河豚のいろいろ~名前や旬
新年明けましておめでとうございます。
瓢嘻赤坂店 料理長を務めております石田と申します。旧年中は格別のご愛顧の程、誠にありがとうございました。本年も瓢嘻 赤坂店をどうぞよろしくお願い致します。
さて、今月はいくつかの食材や料理についてお話させて頂ければと思います。
日本料理は「旬」というものを重んじ、四季折々の食材を使い、造り上げていくものだと思っております。
例えば魚ですと、春なら「鰆」「白魚」、夏は「アナゴ」「鮎」、秋は「秋刀魚」「しらす」、そして冬は「河豚」「平目」などでしょうか。
魚・野菜・果物・・・それぞれ四季折々の旬の食材の組み合わせは本当に多種多様です。
そして、今回はその旬の食材の中でも「河豚」に注目していきたいと思います。
〈河豚という名〉
まずは河豚についてお話していきたいと思います。
河豚と言えば私ども職人としては「河豚」、「鱧」、「鼈(スッポン)」とあげるうちの一つでございますが、まず、「河豚」という名前。
漢字ですが「河」と書くのは中国で食用とされるメフグが河川など淡水域に生息する種であるためです。また、このメフグが豚のような鳴き声を発することから「豚」の文字があてられ、「河豚」となったと云われております。
中国では「河豚」、「河豚魚」などと、表記されております。日本では「鮐」、「鯸」、「鰒」などの表記もございます。
〈各地での呼び名〉
各地の呼び名ですが、下関や北九州などでは「ふく」と呼ばれております。
これは「不遇」あるいは「不具」につながる「ふぐ」ではなく、縁起の良い「福」につながると言う所から「ふく」と呼ばれております。
関西では「てっぽう」と呼ぶとあります。
これは「たまに当たる」を「弾に当たる」、「当たると死ぬ」に掛けた洒落から「てっぽう(鉄砲)」と呼びます。
てっさ(てっぽうのさしみ)、てっちり(てっぽうのちり鍋)ともいい、フグ食禁止令のために「テツ」の暗号が用いられる事があったそうです。
私は修行時代を関西で過ごしておりましたが、実際に「テツ」と呼んでいる職人さんを目にした事がございます。
長崎は島原地方では「がんば」とも呼ばれ、「がんば置いてでん食わんば(棺桶を置いてでも食わねば)」と言う意味で、方言から来ている略語でございます。
また英語では、河豚は威嚇するために体を膨らませる姿がよく知られますが、この姿から英語で「pufferfish」といいます。これは「膨らむ魚」という意味です。
胃の腹面の膨張嚢に空気や水を吸い込んで、体の体積を2倍以上にする事ができるためです。腹部にとげ状の短い突起がある種もいるとのことです。
河豚は、歯が良く発達しており、これが融合した強靭な4つ歯を持ちます。主に海水魚ですが、汽水や淡水に生息する種類の物もあります。
〈ふぐの旬の時期〉
一般的に日本料理店で提供される種類は虎河豚でありますが、旬は11月~2月となっております。つまり、寒い今が大変美味しい時期であります。産卵の時期は2月頃なのですが、その頃は白子も身もより美味しいですよ。
さて、当店でも河豚コース、ご予約を承っております。
コースのなかには「河豚しゃぶ」もございますので、「河豚が食べたい!」と思いましたら、どうぞ当店へお越しくださいませ。
長々とお付き合いいただきありがとうございます。
それでは、本年もどうぞよろしくお願い致します。
皆様のご来店を、心よりお待ち申し上げております。
瓢嘻赤坂店 料理長 石田龍太郎