ブログ赤坂店
端午の節句
陽春の候、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
忙しかった冬が終わり、気候とともに徐々に穏やかな日常になってきてはおりますが、お鍋以外にも会席料理等季節の移ろいを感じることができるお料理をご用意しておりますので、皆様是非ともご来店いただければと思う次第でございます。
さて、本日は少し早いのですが「端午の節句」について少々お話できればと思います。
そもそも端午の節句とは何なのかといいますと、季節の節目にその季節の草花を神様に供え、神様に供えた物を家族でいただき邪気を祓うという節句行事の一つであり、5月5日のこの端午の節句では男の子の成長を願う行事であります。
端午の「端」は、「はじめ」という意味で、端午は5月最初の午(うま)の日ということでした。
それが午という文字の音が五に通じることなどから奈良時代以降、5月5日が端午の節句として定着したそうです。
なぜ男の子の成長を祝う日なのかに関しましては、また別の機会でお話できればと思いますが、本日はやはり板前らしく節句料理等のお話ができればと思います。
端午の節句料理
端午の節句の節句料理といえば、関東では柏餅、関西ではちまきを食べることが多いです。
せっかくなので両方の意味合いをいいますと、
柏餅は柏の葉は新芽が出るまで葉が落ちないため、子孫繁栄の意味があり、そちらを使う柏餅が節句にふさわしい縁起の良い食べ物になったと言います。
ちまきは現在ではもち米を笹で包んで蒸しますが、昔は茅(ちがや)の葉で巻かれていました。
この茅は中国の故事で繁殖力が強く神霊が宿り、邪気を払う植物とされていたため、端午の節句に茅で包まれたちまきが食べられるようになったとされております。
また、北海道や東北地方では米粉と砂糖(黒糖)をベースに作ったべこ餅、山形県や島根県あたりでは原材料はもち米と同じなのですが、笹で三角形に巻き、お湯で煮たちまきの笹巻を、長野県から岐阜県木曽地方では米粉で小豆餡を包みほう葉で巻いて蒸しあげたほう葉巻といったように地域によって違いがあるようです。
ちなみにその他にも端午の節句に食べると縁起が良いといわれている食材があります。
・鰤 出世魚と呼ばれるため
時期的には少しはずれてはしまうのですがまだまだ美味しいです
・鰹 「勝男」とかけてのことらしいです
時期的にもちょうど初鰹の旬ですのでお勧めです。
・筍 「まっすぐに伸びる」という特徴からとのことです。
こちらもまだまだ美味しい時期です。
通常の孟宗竹だけでなく、淡竹や根曲がり竹も出だし、様々な料理で楽しめます。
また、料理ではないのですが、端午の節句と言えばもう一つ「菖蒲」はかかせませんね。
こちらは季節の花というのはもちろんなのですが、菖蒲=尚武というように語呂も良く、邪気を払うために飾ったり、お酒に浸して飲む菖蒲酒といったように様々な形で表れます。
お風呂に菖蒲を漬けた菖蒲湯も有名ですね。
いまでは端午の節句=菖蒲の節句とも呼ばれるくらいです。
このように我々日本人には季節の移りめを大事にするという心があり、それに
見合った様々な食材と風習がございます。
すべての節句を行うとなりますととても大変なことなのですが、「五節句」と
呼ばれる「人日の節句」、「上巳の節句」、「端午の節句」、「七夕の節句」、「重陽の
節句」くらいは日本料理に携わり、その伝統を伝えていく立場の人間として演出
し、お伝えしていければと思います。
当店でも四季追々の華で皆様をお出迎えし、旬の食材達とそれを活かした料理、
心を込めたおもてなしとともに皆様のご来店をスタッフ一同心よりお待ち申し
ております。
花冷えの季節、皆様くれぐれもご自愛くださいませ。
瓢嘻 赤坂店 料理長 大宅 康平