ブログ赤坂店
秋刀魚について
つい先だって、今年のさんまの初セリが行われ1kg50万円という高値で取引されました。
昔の庶民の味からだいぶかけ離れた高級魚へと様変わりした印象のあるこれからが旬を迎える秋刀魚についてお話をさせていただきます。
最後まで、お付き合いのほど、よろしくお願い致します。
特徴、生態
寿命は1年~2年程度であり、通常2年で全長35cm程度まで、まれに40㎝を超える大きさに成長します。
28㎝未満は、0歳魚と考えられます。
成魚は海洋の表層近く(昼間の成魚の分布水深は表層から10~15m程度、仔魚は昼夜に無関係で少なくとも水深20㎝以浅)
を大群を作って泳いでいます。
千島列島沖で群れが形成される際は表面水温10°C~18°Cで水深25mの温度が8°Cの等温線に沿って分布するとする研究が発表されています。
捕食者から逃げる時にはトビウオのように水面から飛び出して滑翔することも。
動物性プランクトン・甲殻類・小魚・魚の卵などを食べています。
旬、栄養価
秋の秋刀魚は脂肪分が多く美味であり、特に塩焼きは日本の「秋の味覚」の代表とも呼ばれています。
日本では、塩焼きにしてカボスや、スダチ、ユズ、レモン、ライムなどのしぼり汁やポン酢、醬油などをかけ、大根おろしを添えて食べることが多いですね。
秋刀魚は餌を食べてから排出時間が30分程度と短いため、内臓に独特のクセはあるがえぐみは少なく、塩焼きのはらわたを好んで食べる人も多い。
蒲焼きの缶詰は水産物缶詰の中でも人気が高いです。
近年では刺身としても流通しており、脂ののりきらない晩夏から初秋が食べごろとされ、他の青魚と同様に酢〆して食べることもあります。また、押し寿司としても利用されています。
秋刀魚には、血液の流れを良くするといわれるエイコサペンタエン酸が含まれており、脳梗塞・心筋梗塞などの病気を予防する効果があるとされています。
また、ドコサヘキサエン酸も豊富に含まれており、体内の悪玉コレステロールを減らす作用、脳細胞を活発化させ、頭の回転を良くする効果もあるとされています。
鮮度、目利き
生のサンマの鮮度の見極めは
「尾を持ち秋刀魚の頭を上に向けた時、体が曲がらずにできるだけまっすぐに立つもの。」
「目が濁っていないもの」
「口先はほんのり黄色いこと」などといわれています。
美味しいサンマは口先だけでなく秋刀魚の尾も黄色く、極まれに全身が黄色のサンマも獲れますが、これらは高級魚として高値で取引されます。
サンマが黄色くなる理由はいまだ解明されていないのです。
調理の秘訣
その方法とは「塩を二回振る」です。二回ふるとなぜうまくなるのか?一回目の塩を振って30分おくと浸透圧の作用で塩分が魚に入り、身のたんぱく質が変成し、のり状になります。
これを焼くと固まって弾力が出ます。振り塩をして時間を置くと分解酵素が働き、タンパク質が旨味のあるアミノ酸に変化します。そして、塩の脱水作用で魚の表面の水分が溶け出ます。そのとき、魚に含まれるトリメチルアミンなどの生臭い成分も一緒に出ていくのです。秋刀魚についているそれらのクサイ成分を洗い流した後、「二回目の塩」をかるく振ることで引き締まった味になります。これらの作用があるため劇的においしくなります。
北海道から南下をしていき、9月中旬に三陸沖、11月には房総沖まで下ってきます。
北海道の海で捕れるサンマにも脂がかなりのっているのですが、南下し始めた直後からさらに脂は増え、銚子沖に降りてきた頃が一番脂の乗りが良くおいしいといわれています。
これから旬を迎える秋刀魚についてお話させていただきました。
お付き合いいただきありがとうございました。 暑さに負けず夏を乗り越えていきましょう。 赤坂店 大日向 勝弘