ブログ八重洲店
車海老について
旬と鮮度
車海老は、「夏から秋にかけてが天然もの、冬から春が養殖 もの」といわれ、
築地市場における天然物の入荷状況をみると、1年中入荷はあるものの、旬は6月から9月です。
クルマエビに限らず、エビは活けものが良いとされています。エビも魚と同様、死後硬直があり、それを過ぎてからのほうが旨みは強くなりますが、エビは硬直後の鮮度落ちが早く傷みやすいです。
体内の酵素がはたらき、急激に自己消化してしまうからだそうです。エビが活けでなければ価値が半減してしまう理由がそこにあります。
現在、活けのクルマエビは産地で選別後、冷やして段ボール箱に並べられ、乾燥したおが屑と一緒に詰められて流通されています。
冬眠状態にあるので、このままの状態で数日間は活きています。
こうして消費地仲買いの手に渡ったクルマエビは、そのまま料理店に渡ることもあれば、
仲買いがいったん自社の水槽に放して活きているのを確認した上で、再度箱に詰めて販売することもあるといいます。
仕入れたら、箱ごと冷暗所にストックする。冷蔵庫はクルマエビにとっては温度が低すぎて、
逆に弱ってしまう。もし生け簀に放すのであれば、その日に使いきり、けっして活け越してはいけないそうです。
むしろ、残りは1尾ずつバットに並べて冷凍した方がよい品質を保てます。
氷蔵品を選ぶなら、透明感があるものを選んだほうが良いです。
鮮度が落ちたものは。殻に含まれる成分が時間とともに赤くなり、
さらに進むと黒ずんでくる”それだけ身も自己消化が進んでいるので、避けたほうがよいです。
冷凍エビの目利きと解凍法
冷凍エビとは選別後、型に詰めて薄い塩を加えた水を注ぎ、急速冷凍したもののことを言います。
グレーズ(氷の衣)でひと塊に包むことで、乾燥して目方が減ったり、
折れたりするのを防ぐ効果もあるそうです。無頭エビと有頭エビは、有頭エビのほうが鮮度落ちが早いです。
天然ものの場合、船の上で漁獲してすぐに冷凍する船凍品と、漁獲して陸まで運んでから冷凍工場で冷凍
する陸凍品があるそうです。
鮮度のよさでは船凍品ですが、これは選別にむらが出がちです。養殖ものの場合、養殖場から冷凍加工場までの品質管理が万全であれば、選別から冷凍までをていねいに行なうことができ、質も安定して出荷できます。
冷凍エビの場合、国内でいったん解凍して少量ずつにリパックした製品は、解凍時にドリップが出て品質
が落ちていることがあります。
ただし、リパックしていないものは1箱に数十尾が固まった状態で凍らせてあるので1度に使いきるのは難しいようです。車エビは大きさにより,その身質が異なるので、食感の違いもあります。造りにはできないです。あまり大きな型の車エビを刺身にしても、そのおいしさは伝わらないです。
その場合には、洗いにして身を引き締めるか、さっと湯引くとよいです。
火を通す時には殻を付けたままにしたほうが表面の朱色が鮮やかに出ます。
瓢喜八重洲店では、活けの車海老を使った八寸をご用意しております。
この時期、旬の車海老を是非ご堪能下さいませ。
従業員一同、心よりお待ち申しております。
料理長 輿石 修