ブログ銀座店

2017.1.19

包丁とその歴史

皆様、本年もどうぞよろしくお願い致します。

今回は、家庭でも良く使われる包丁についてお話させて頂きます。
身近にあり何気なく使っている包丁ですが、沢山の種類があるのはご存知ですか?
そんな包丁にスポットをあてて行きたいと思います。

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庖丁の語源

包丁の語源は、様々で明確な根拠はないそうなのですが、同音漢字の書き換えで、「庖丁」と書くそうです。(調べたところこれは共通していました)
中国の書「荘子・養生主偏」の中に、文恵君のために庖丁で牛を骨と肉に分けた話があり、歴史に残る料理の名人として「庖丁」が登場することから、包丁の語源は料理人の名前とされることが多いとされる話、又「庖」は調理を意味し(庖厨<ほうちゅう>から来ているそうです)「丁」は【園丁】や【馬丁】のように、そこで働く男の人、つまり庖丁の原義は「料理人」のことと一般的にはなっているそうです。

庖丁の産地

庖丁には日本刀の製造技術が深く関っているように、庖丁の生産地も日本刀の生産地と深い繋がりを持っています。
戦国・桃山時代までの日本刀は主に、備前=岡山県 相州=神奈川県 山城=京都府 大和=奈良県 美濃=岐阜県の5地方で製造されていました。
しかし、刀狩りなどの条例が下り日本刀の需要は激減し、庖丁や農業用刃物(鋏や鍬、鎌など)の需要を求めて地方に広がっていきます。

刃物作りで現在日本一の生産量を誇っているのは、岐阜県の関市です。
関市で刃物作りが盛んになったのは、鎌倉時代からといわれています。良質な土と松炭を求め、刀匠が移り住んで刀鍛冶を始めたのがその最初と言われています。関市の鍛冶には多くの名匠がいましたが、刀の需要が落ち込んでからは、その技術を庖丁、小刀、鋏、剃刀など家庭用の刃物に生かし、現在に至ります。
明治時代にナイフの輸出で世界への扉を開いてからは、食卓用刃物、ナイフ、鋏、庖丁など様々な商品の輸出もしています。

庖丁の素材

庖丁の刃体に使用される素材には、様々な種類があります。
それぞれの素材により硬度や特性が異なります。研ぎやすさ、錆び難さに違いが現れます。

ステンレス=研ぎやすさ○、メンテナンス○ 錆び難く研ぎやすい素材です。
家庭用庖丁としても最もポピュラーな鋼材。今では、刃先の硬度の高いステンレス複合材の庖丁が主となり、より鋭い切れ味を楽しめます。

鋼=研ぎやすさ○ メンテナンス×(和庖丁はほとんどこれです)
鋭い切れ味を楽しめるのですが、メンテナンスには注意が必要です。一般的なものは磨耗しやすく、切れ味が持続しにくいことが多いです。不純物が少ない炭素鋼は切れ味が長続きし研ぎやすいものの、非常に高価なため、家庭用としては不向きです。

複合三層鋼=研ぎやすさ○ メンテナンス△
鋼の芯材を錆び難いステンレス鋼でサンドイッチした鋼材。鋭い切れ味と錆び難さを両立していますが、刃先は鋼の為メンテナンスに注意が必要です。

セラミック=研ぎやすさ△ メンテナンス◎
陶器のため錆びることがなく切れ味が長続きしますが、非常に硬度が高いので家庭での研ぎ直しは困難です。また、鋼やステンレスとは違い、強い衝撃には弱く、折れたり欠けたりしやすいです。
自分にあった素材を選んでみては如何ですか?キッチンに立つ時のテンションが上がりますよ!

和包丁

私達が良く使っている庖丁です。
日本刀を原型として、美しい切断面が作れるのが和庖丁です。その切れ味の素晴らしさは、世界の料理人を魅了していきます。洋庖丁と和庖丁の大きな違いは、洋庖丁が両刃であるのに対して、和庖丁は片刃が基本です。和庖丁に片刃が多いのは、素材を切り落とした際に刃先がやや左に切り込み、切ったものが離れやすいため、刻む動作が素早くできるからです。素材断面の組織を崩さず切れる為、美しい断面になります。

種類は様々で、一般的には出刃庖丁(魚卸したりする庖丁)柳刃庖丁(御造り引いたりする庖丁)薄刃庖丁(野菜刻みや桂むきなどに使う庖丁)などがあります。様式美に拘る日本ならではで、用途により本当に様々な庖丁があります。プロが使う柳刃庖丁は、かなり長く1尺(33cm)のものや長いと尺3(42.9cm)ぐらいの物まであります。

庖丁の切り方

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庖丁には主に、押し切りと引き切りがあります。どんなに良く切れる庖丁でも、押したり引いたりしないと、切り分けることは出来ません。押し切りと引き切りに適した食材があります。

押し切り=繊維の強い物、野菜、肉などに適した切り方です。庖丁の重さを利用して押し切りにすると、繊維を崩さずに綺麗にきることが出来ます。

引き切り=魚など繊維の柔らかい物を切る時に適した切り方です。庖丁の長さをフル活用し引き切りにすると繊維を崩さず綺麗に切ることができます。

庖丁の使い方一つで、食材の味が変わります。食材に沿った美味しい切り方を出来る様になれば良いですね!

今回は庖丁についてでした。
身近な物でも由来や歴史を調べると色々でてきます。砥石を使って庖丁を研ぐ、これが出来たらカッコイイですね!

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瓢喜銀座本店 料理長 松本直樹

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