ブログ西麻布店
「祇園放生会」とは 祝日はないけれど~6月~
色鮮やかに咲く紫陽花のように生気あふれる日々をお過ごしのことと存じます。
今年も早くも半分が過ぎようとしています。1年の折り返し地点で、行事がいくつかあります。
父の日やジューンブライドなどです。
そんな中今回私が選んだのは「放生会」です。
「祇園放生会」と言えば京都の初夏の風物詩で、毎年6月の第1日曜日に行われています。
祇園放生会は1985年から行われています。祇園放生会は仏教の教えのひとつである不殺生により、捕まえた生き物を殺さずに放流する宗教儀式です。
生き物のおかげで、生きながらえていることを認識し、殺生を慎んで生き物に感謝します。
祇園放生会ではまず奉納演奏・法話などが行われ、次に千日回峰行を満行した大阿闍梨による放生会が奉修されます。
そのあと舞妓さんなどが鮎(鯉・金魚)の稚魚約2000匹を巽橋から白川に放流します。
放生会はお釈迦様の前世である流水長者が池の水の涸渇により、死にかけた魚を助け、説法して放生したところ肴は三十三天に転生し、感謝・報恩したという事が起源とも言われています。ちなみに日本では677年に最初の放生会が行われたとも言われています。
仏教の教えである五戒には不殺生戒・不偸盗戒・不邪淫戒・不妄語戒・不飲酒戒があります。
阿闍梨はサンスクリット語で軌範を意味し、中国語では師範・軌師範などと表記され、諸戒律を守り、弟子の規範となり、法を教授する師匠のことを言うそうです。
比叡山延暦寺の千日回峰行は日蓮宗の寒百日大荒行・インドのヨガと合わせ、世界三大荒行に数えられています。
千日回峰行は7年間に渡って行われます。3年目までは年に100日、4・5年目には年に200日、比叡山内約30キロを巡拝します。
5年目の700日を満行すると無動寺明王堂で堂入りし、断食・断水・断眠・断臥の四無行を9日間に渡って行い、不動真言を10万回唱えます。
堂入りが満行すると生身の不動明王とも言われる阿闍梨になります。
6年目は年に100日、比叡山内と赤山禅院約60キロ巡拝し、7年目の前半100日は京都大回り約84キロ、後半の100日は比叡山内約30キロを巡拝します。
ちなみに千日回峰行で歩く距離は地球1周分・約4万キロにもなるそうです。なお千日回峰行で実際に歩くのは975日で、残りの25日は「一生をかけて修行しなさい」という意味だそうです。
それと祇園白川の歴史ですが、祇園白川は縄手通の東側、新橋通と白川に面する辺りを言います。
祇園白川の祇園は八坂神社の門前の茶屋町を古くから祇園町と言うようになったことに由来します、白川は茶屋町を流れる淀川系鴨川支流の一級河川である白川に由来しています。
祇園白川の一部は国の重要伝統的建造物群保存地区に含まれています。祇園は八坂神社の門前町で、四条通の南北に広がっています。
祇園は江戸時代に京都所司代・板倉重宗が水茶屋に茶点て女を置くことを許可したことから茶屋町として発展しました。
なお祇園には現在も祇園甲部と祇園東のふたつの花街があります。白川は京都と滋賀の境界付近にある東山の内、滋賀大津市山中町の山麗を源としています。白川は川に白砂に敷き詰められているように見えることから名付けられたそうです。
ちなみに、この放生会から日本料理の一つ「八幡巻」が生まれたそうです。
京都府八幡市は牛蒡の産地として知られていて、この付近では天然のウナギも獲れたと言います。
八幡の石清水八幡宮では放生会の行事があり、本来殺生を慎むべきその時期に川魚が食べられるように、牛蒡で巻いて隠して食べていたのが始まりとされています。
このように、祝日はない6月ですが、僕たち料理人にとっては決して欠かしてはいけない大事な行事のお話でした。
皆様のご来店心よりお待ちしております。
瓢喜西麻布店 料理長 小川隆太郎