ブログ赤坂店
6月~赤坂店料理長 石田龍太郎が語る~
皆さんこんにちわ!
瓢嘻赤坂店の料理長を務めております、石田と申します。
6月に入り、いよいよ夏らしくなってきたのではないでしょうか?
夏といえば、海や川でバーベキュー、花火大会もございます。私自身、夏が一番大好きです。しかし、料理長たるもの遊ぶことばかり考えていてはいけませんので、今月も旬の食材や料理についてお話しさせて頂きたいと思います。
まず、「鮎」についてお話して参ります。
「鮎」という名前ですが漢字表記としましては、香魚(独特の香気をもつことに由来)、年魚(一年で一生を終えることに由来)、銀口魚(泳いでいると口が銀色に光ることに由来)、渓鰮(渓流のイワシの意味)、細鱗魚(鱗が小さい)、国栖魚(奈良県の土着の人々・国栖が吉野川のアユを朝廷に献上したことに由来)、鰷魚(江戸時代の書物の「ハエ」の誤記)など様々な漢字表記があります。
また、アイ、アア、シロイオ、チョウセンバ「久留米市」、アイナゴ(幼魚・南紀)、ハイカラ(幼魚)、氷魚(幼魚)など地方名、成長段階による呼び分け等によって様々な別名や地方名がございます。
アユの語源は、秋の産卵期に川を下ることから「アユル」(落ちるの意)に由来するとの説や神前に供える食物であるというところから「饗(あえ)」に由来するとの説など諸説ございます。
現在の「鮎」の字が当てられている由来は、神功皇后がアユを釣って戦いの勝敗を占ったとする説、アユが一定の縄張りを独占する(占める)ところからつけられた字であるというものなど諸説ございます。
アユという意味での漢字の鮎は奈良時代ごろから使われておりましたが、当時の鮎はナマズを指しており、記紀を含め殆どがアユを年魚と表記しております。
中国で漢字の「鮎」は古代日本と同様ナマズを指しておりまして、中国語でアユは、「香魚(シャンユー)」が標準名とされております。
地方名では、山東省で「秋生魚」、「海胎魚」、福建省南部では「溪鰛」、台湾では「[魚桀]魚」(漢字2文字)、「國姓魚」とも呼ばれております。俳句の季語として「鮎」「鵜飼」はともに夏をあらわしますが、春には「若鮎」、秋は「落ち鮎」、冬の季語は「氷魚(ひお、ひうお)」と、四季折々の季語に使用されております。成魚の全長は30cmに達しますが、地域差や個体差があり、10cmほどで性成熟するものもおります。若魚は全身が灰緑色で背鰭が黒、胸びれの後方に大きな黄色の楕円形斑が一つございます。秋に性成熟すると橙色と黒の婚姻色が発現いたします。体型や脂鰭を持つ等の特徴がサケ科に類似します。口は大きく目の下まで裂けますが、唇は柔らかいです。歯は丸く、櫛(くし)のような構造で、北海道・朝鮮半島からベトナム北部まで東アジア一帯に分布し、日本がその中心であります。石についた藻類を食べるという習性から、そのような環境のある河川に生息し、長大な下流域をもつ大陸の大河川よりも、日本の川に適応した魚でございます。天塩川が日本の分布北限であり、遺伝的に日本産海産アユは南北2つの群に分けられます。
中国では、河川環境の悪化でその数は減少しておりますが、2004年に長江下流域でも稚魚が発見された報告があるなど、現在も鴨緑江はじめ、東部の各地に生息しているようです。また、中国では浙江省などで放流や養殖実験が行われております。台湾でも中部の濁水渓以北で生息しておりましたが、現在は絶滅が危惧されております。アユの成魚は川で生活し、川で産卵しますが、生活史の3分の1程度を占める仔稚魚期には海で生活します。このような回遊は「両側回遊」(りょうそくかいゆう)と呼ばれております。ただし、河口域の環境によっては、河口域にも仔稚魚の成育場が形成される場合もございます。
親のアユは遡上した河川を流下し河川の下流域に降り産卵を行います。最高水温が20℃を下回る頃に始まり、最高水温が16℃を下回る頃に終了します。粒径 1mm程度の沈性粘着卵を夜間に産卵いたします。産卵に適した河床は粒の小さな砂利質で泥の堆積のない水通しの良く砂利が動く場所が必要であります。つまり、砂利質であってもの幼虫(俗称:クロカワムシ)などにより河床が固められた場所では産卵できないようです。産卵様式は、1対1ではなく必ず2個体以上のオスとの産卵放精が行われるそうです。また、資源保護を目的として「付着藻類を取り除く」「河床を掘り起こし水通しを良くする」などの河床を産卵に適する環境に整備する活動が各地で行われております。水温15℃から20℃で2週間ほどすると孵化します。孵化した仔魚はシロウオのように透明で、心臓やうきぶくろなどが透けて見えます。孵化後の仔魚は全長約6mmで卵黄嚢を持ちます。
特に天然鮎を中心に、出回る時期が限られていることから、初夏の代表的な味覚とされております。初夏の若鮎は特に美味で塩焼きや天婦羅は珍重されております。
今回も長々とお話しさせていただきましたが、最後までお付き合い頂きありがとうございます。
これから気温もどんどん上がって参りますので、体調を崩されませんように、健康に気を付けてお過ごしくださいませ。
それでは、皆様のご来店をスタッフ一同心よりお待ち申し上げております。
瓢嘻赤坂店 料理長 石田龍太郎